医療のお話二つ

人間ドック考

 人間ドックを利用し始めて、もう何年になるでしょうか。おそらく三十代後半からだったと思うのでかれこれ二十数年

間は欠かさず年一回の検診を受けている事になります。今は立派な人間ドック専門の施設が出来ています。それ

以前は病院で一般の患者さん達と一緒に検診を受けていました。大勢の患者さんがいる中を空いている時間を見計

らうようにして検診を受けていました。結果は後日、会社の産業医から聞いていました。

 今の検診施設が出来て十年くらいにはなるでしょうか。以前の病院とは違って明るく近代的な施設になりました。

検診結果もその日の内に聞いて帰るようになっています。検診時間も格段に改善されました。半日仕事には変わりは

ないのですが、検診そのものの時間は大幅に改善されたのです。大勢の女性スタッフがいて空いているところへどん

どん配置していくのです。従って、同じところで大勢の人が待つということはなくなったのです。

 検診結果が出るのは昼頃になりますから、それまで街に出てぶらぶらして帰っても良いですし、本を持っていき読ん

でいても良いのです。待合室には大きなテレビもあり、コーヒーや紅茶やお茶もあります。その上、お菓子もあるのです

からサービスは至れり尽くせりです。

 また、検診の日は朝飯抜きですから、検診が終わってから食事ということになります。その際は食券が手渡され一階

の食堂で和食を食べることが出来ます。和食にはメニュー表とカロリーが書かれています。さすがは医療施設の食堂

です。

 検診は結果を聞くときが一番いやなものです。どこか悪いところがあるのではないだろうか、癌の疑いでもあると言わ

れたらどうしよう。などといつもドキドキしながら説明を聞きます。目の前にレントゲン写真やエコーによる写真が並べら

れています。その写真の一つ一つを指さしながら担当医が説明をしてくれます。その後はカルテに書かれた数値の説明

があります。血液検査、尿検査等の結果です。私達のような年齢になると何らかの故障があります。何もないという人は

まずいないのではないでしょうか。ともあれ、差し迫って何かをしなければならないということがなければ良しとしなければ

なりません。こうして毎年、何とはなしにパスしてきました。

 過去には二度ほど再検診を受けた事がありました。一つは胆嚢の検査でした。この年は再検診を受けるまでの間、

半年は心配をしました。後から考えてみれば何でもないことなのですが、やはり初めての再検査ともなれば心配は

当たり前です。本来、ドックでひっかかっても再検診で異常のない場合がほとんどだそうです。疑わしいものは再検査

になっているのです。

 会社の同僚の中には何か悪いところがあるのではないかと検診を受けない人がいます。また、バリウムを飲むのが

いやで検診を受けない人もいます。確かに、いずれもいやなことには違いないのですが、それが理由で受けないという

のはどうなのでしょう。車にも車検があるように、当面、問題がないことを保証されたという事は、検診を受けたからこそ

確信できることではないでしょうか。

 ともあれ、今後も毎年の検診は受け続ける事になります。季節が来ればまた次の人間ドックが待っているのです。

女医さんのカルテ

 近所にM医院があります。私がこちらに移り住んだ時からお世話になっている医院です。年に一、二度、風邪ひきで

見て貰うぐらいのつき合いですが、そのつき合いはもう二十年以上続いています。ここの先生は品の良い男の先生で

した。学校医として子供達もお世話になりました。医院は小さな丘の上にありました。風邪で熱があるときには、この

坂道がけっこうきつかったものです。その後、娘さんが後を継がれました。女医さんです。どこか岡山周辺の公立病院

に勤務されていたと聞きました。女医さんが戻ってこられるということで、建物も丘の上を閉めてすぐ下の空き地に建て

られました。小さな平屋建ての医院です。

 私の家族はみんなM医院の患者です。それぞれ病名も症状も異なりますが、何くれとなくお世話になっています。従って

M医院のカルテには家族の病歴が記されているのです。町医者の特徴は手軽であるということ、たいていの場合、家族

がみんなお世話になっていることです。この事から家族の病気の傾向まで分かります。糖尿病の家系では糖尿病について、

高血圧の家系では高血圧について、アレルギーのひどいときには他の家族にもその傾向はないのかとか、多くの関連

するデータを管理して貰えます。恐らく我が家の家族のカルテも女医さんの手元できちんと管理されているのではない

でしょうか。

 この医院の特徴をもう一つ。この医院では渡される薬が何の薬でどんな副作用があるかきちんと書いた説明書が薬袋

の中に入っていることです。これは女医さんが始められたことです。最近、大病院でも聞けば教えてくれるようですが一歩

先をいく心配りです。何でもないような事ですが女医さんの女性らしい心遣いが伝わって来るようです。

                                                        2002年12月31日掲載

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