イラク戦争終結によせて

 実にあっけないほどの幕切れとなりました。しかし、いくら短期間の戦争と言えども犠牲者がなかったわけでは

ありません。巻き添えとなって亡くなった人や怪我をした人もたくさんおられます。家を壊された人や家財を失った

人も少なくありません。せめてもの救いは戦争が短期間であったので、その分、幾らかは犠牲が少なかった事では

ないでしょうか。

 さて、この国の将来はこれからです。まず政治体制をどう立て直すのか、これが先決問題ではないでしょうか。

政治体制が整って初めて、人々の生活が保障されるのです。だからといって、この国の政治体制を立て直すのは

容易な事ではないようです。先のアフガニスタンの時と同じように、民族問題や宗教問題が絡んでいるからです。

これらを調整しながら、あるいは、お互いに妥協をせまりながら、一つの政府を作っていかなければなりません。

一方、長年フセイン政権によって抑圧されてきたシーア派等は早くも独立運動を起こしています。

 また、石油に関する利権の問題もあります。世界第二位という膨大な埋蔵量を持った国です。当然分け前を

よこせという動きが各所から起こることは間違いありません。これにはアメリカを初めとする他国の利権も絡んで

きます。いくら戦争が終わったからと言って、すんなりと国民の平和には繋がらないようです。

 国民一人一人の立場からは一日も早く正常な日常生活に戻ること、医療体制が整うこと、教育がきちんと受け

られる事ではないでしょうか。そのためには世界中が一緒になって、この国の復興の支援をしていく必要があり

ます。一部の国だけで何とかなるようなものではないはずです。そして、してはならないと思うのです。

 それにしても心痛むのは国の遺産とも言うべき博物館の所蔵品が、何ものかの手によって持ち出され、また、

破壊された事です。これらの中には歴史的に貴重なものが少なくなかったはずです。散逸したものが再び博物館

に戻ることを願って止みません。所蔵品はイラクの遺産であると同時に、世界の遺産でもあるはずです。一国や

一個人が独占するものではありません。

                                                   2002年5月15日掲載

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