実写を超えたアニメ映画「イノセンス」

 実に難解な映画だった。これは押井守監督作品だ。公開される前から話題を呼んでいた映画である。私が

この映画の公開を知ったのはジブリ美術館へ行った時だった。公開に先立って館内では映像の一部が上映

されていた。以来、劇場での公開の日を待っていたのだが、上映が開始されたころはあいにくい忙しくて見に

行くことが出来なかった。

 先日、レンタルショップへ行ってみると、新作のコーナーにこのDVDが置いてあった。早速、借りて帰って家で

見た。多くのロボット映画がそうであるように、これもまたロボットが反乱を起こし、その調査のために特命を

受けた刑事二人が捜査に当たるというものであった。二人のうち一人は一部がロボット化した改造人間だった。

舞台設定は中国であろうか。香港の市街地や裏町を思わせるような場所が背景になっていた。反乱を起こした

ロボットは男の欲望を満たすために開発された特殊ロボットだった。日本人形を思わせるような表情は、映画

全体を通じての不思議な映像美とあいまって一種異様さを感じさせる。とにかく、この感じを文字で表現する

のは難しい。ぜひとも一度見てもらいたい映画だ。

 いま映画は大きな転換期を迎えている。各種の映画祭でアニメ映画が色んな賞を受賞している。これらの賞

の評価にも現れているように実写にひけをとらない、実写では描き得ないような作品が作られている。その代表

的なものが スタジオジブリの作品ではないだろうか。そして、イノセンスのような難解ではあっても意欲的な

作品も作られている。

 前評判ほど実際の評価は高くなかったが、ファイナルファンタジーも優れた作品ではないかと思っている。

いかに特撮技術を駆使しようとも、この作品ほどのものは作り得ない。しかも登場人物すべてが3DCGで描か

れているのだ。ストーリーも決して悪くはなかった。また、イノセンスと異なって理解しやすい映画だった。映像

の鮮明さと美しさは言うまでもない。早くから上映が打ち切られてしまったが、もっと多くの人に見てもらいたい

作品ではなかったろうか。

 スパイ・ゾルゲという映画を見られただろうか。この作品にもCGがたくさん取り入れられていた。ジュラシック

パークはどこからどこまでが実写で、どこからどこまでがCGか判別がつかない作品だった。今や恐竜映画や

SF映画などCG抜きでは制作し得ない。このように多くの作品が実写とCGを駆使して作られている。

そして、それ以上に大きな変化はアニメ映画が実写映画を超えようとしていることである。ともかく映画は、

従来にはなかった大きな変化の時代を迎えている。大変楽しみな時代になってきた。

                                             2004年10月7日掲載

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