遺伝情報の伝達の単位をゲノムという。遺伝子は遺伝情報発現の単位である。今、

色んな生物の遺伝子の解読が進んでいる。人の遺伝子の解読をヒトゲノムと言っている。

稲の遺伝子の解読を稲ゲノムと呼んでいる。人の遺伝子の解読は、当初予定されていた

より早く、ほぼ完了したと報じられていた。

 稲(ジャポニカ)の遺伝子の解読が、アメリカの民間企業の手によって解読されたと言う

ことは、日本にとって、どんな利害があるのだろうか。人間の遺伝子情報は、アメリカの

一民間企業の手によって解読が進んでいた。資金力にものを言わせ、大型のコンピュータ

を導入し、猛スピードでの解読作業だった。各国は協調して人の遺伝子の解読を進めて

いたが、この会社に遺伝子情報の特許を独占されてはならないと、両者の間で競争に

なっていた。こんな事もあって、解読は当初の予定よりは相当早く進んだようだ。

 本来、人間のゲノムは、一企業や一国によって独占されるべきものではない。人類全体

の共有の財産として保護されるべきものだろう。人間の遺伝子情報が全て明らかになると、

多くの遺伝子病治療に明るい展望が開けてくる。

 未知の領域であった遺伝子の中は、神だけが支配出来る世界とされてきた。神の領域に、

人間自身が手を加えると言うことは、どう言うことなのだろうか。予想し得ない危険が懸念

されるのである。

 将来の食糧不足を懸念して、多くの穀物品種に改良の手が加えられてきた。かつての

品種改良と言えば、交配を中心とするものだった。しかし、交配には同じ品種間という大き

な制約があった。しかし、今日では種を越えて、遺伝子レベルで品種改良が進んでいる。

日本では遺伝子操作によって品種改良した食料品の輸入を制限している。ヨーロッパ各国

においても、輸入制限が行われている。アメリカにおいては、食料は戦略的な武器だと

位置づけて、多くの企業でトウモロコシや大豆等、食料としての品種改良が進んでいる。

いずれは日本人の主食である米なども、遺伝子レベルでの品種改良が進んでいくのでは

ないだろうか。日本のように食料自給率が低い国では、諸外国の、ことに、アメリカなどの

農業生産国からの食料輸入に頼らざるを得ない。そんな輸入食料の中に、遺伝子操作を

行った食料品が入ってくることは、時間の問題であろう。私達は農産物のみならず、動物

の遺伝子操作による畜産品も考慮に入れて、対処していかなければならないのではない

だろうか。

 そして、ヒトゲノムの解読が、人間にとって利益となる光の部分だけでなく、影の面が

もたらすであろう影響についても、考えていかなければならない。かつて、「ドクターモロー

の島」という、SFまがいのホラー映画が上映された事がある。この島では、色んな動物が

人間の遺伝子と組み合わされ、奇妙な怪物が作られていた。こんなホラー映画まがいの

事が起きないと誰が言い切れるだろうか。科学には常に、影の部分があると言うことを

考えておかなければならない。                    2001年3月17日掲載


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