ヒントは昆虫に

 科学万能と言われながらも改革が進まない事もたくさんあります。人間は空を飛べるとは言っても単独で飛ぶことは

出来ません。昆虫、特にトンボはあの薄い羽を細かく振動させ、さも気持ちよさそうにスイスイと飛んでいます。私達は

子供の頃、捕まえてきたカブト虫に大きなマッチ箱を引かせていました。あの体のどこにそんな力があるのか不思議な

気がしていました。バッタはあの強靱な後ろ足と羽を使って自分の体の何十倍という距離を飛んでいきます。あの小さな

蟻のどこにそんな力があるのだろうと思うくらい大きなものを平気で引きずって行きます。コガネムシや玉虫の羽の色は

どんな宝物の光や輝きよりもきれいです。人工的に作ろうと思っても出来ません。

 このように昆虫には科学的にも作れないような不思議な構造をした体を持っています。これらの構造や材質を人工的

に作り出すことが出来れば、新しい技術革新も夢ではありません。これらの昆虫が強靱な力や持続力を保ち続けること

が出来るエネルギーとはどんなものなのでしょうか。そしてその使い方も実に効率的なものです。人間が作り出す人工の

力やエネルギーにはたくさんのロスがあります。多くは熱的なロスです。しかし、昆虫は熱ロスが少なく実に効率的な

エネルギーを使い、大きな仕事をしています。

 今、技術革新はある種の行き詰まり状態だと言われています。しかし、少し視点を変えてみたり発想を転換したと言う

だけで、実にユニークな発明や発見がなされています。私は昆虫や自然の動植物の中に、まだまだ未発見の大いなる

発明や発見のチャンスが眠っているのではないかと思っています。

 カブトムシのような構造を持った建設機械が建設現場に現れても良いのではないでしょうか。トンボのような軽い羽を

持った移動手段が開発されたらどんなに便利な事でしょうか。チョウチョのような色彩と優雅な飛び方が出来たらどんな

に楽しいでしょうか。玉虫のような色彩と光沢を持ったファッションが現れたら大いに女性の関心を買うのではないで

しょうか。こんな事を考えていると、いつまでも飽きることのない夢の世界は広がるのです。

                                                       2002年7月11日掲載

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