現代映画館考

映画好きの日々

 私の映画好きは子供の頃からのものである。子供の頃、映画館では3本立て上映などと言う日もあって、

何本見てもいっこうに見飽く事はなかった。それどころか、見終わってしまうとまだ何となく物足りなさを感じる

くらいだった。友達の中には映画を見ると頭が痛くなるというものがいた。しかし私の場合、何時間見ても

そんなことはなかった。私の映画好きは天性のものかも知れなかった。

 木製の長椅子に腰をかけ、画面を食い入るように見ていた日々。小学校の講堂でゴザの上にあぐらをかき

何時間も見ていた日々。その顔は惚けたような顔だったのだろうか。口を開けたままだと言って友達から

何度もからかわれた。そして、何と言っても極めつけは夏休みの中学校の校庭での映画だった。夕飯も

そこそこに明るい内から学校へ行き、一番良い場所に陣取って始まるのを待っていた。何もかも映画に

関する懐かしい思い出である。

 さて先日、久々に映画館へ行った。その前の日、家内と一緒に出かけたのだが映画館の前は長い人の列。

どうやら大半の人は、ハリーポッターの三作目を見に来たらしい。最後尾が見えないくらい長い列だった。

これではチケットを買うだけで日が暮れてしまいそうだった。この日は仕方なくあきらめて引き返した。私達が

見ようと思っていた映画は「ザ・デイ・アフター・ツモロー」であった。

 余談になるが、むかし倉敷には映画館がたくさんあった。しかし、市街地の映画館は次々と閉めてしまい

今は倉敷東映一館だけになってしまった。そして新たに出来たのがイオン倉敷にあるMVIXだった。私の地元

である児島にも「曙館」という映画館があった。ここもいつの間にか閉館してしまった。テレビが普及して以来、

映画館は急速に人気がなくなってしまった。その上、追い打ちをかけるようにビデオやDVDと言ったものが

レンタルされるようになってきて、更に拍車がかかった。映画館で見るのとテレビで見るのとは、まるで迫力が

違うのだが手軽さには勝てなかった。

 児島からイオン倉敷までは車でも30分以上かかる。私の家からは大変遠い。せめて水島周辺であれば良い

のだが、この距離を日曜日、月曜日と二度往復することになってしまった。映画好きの私にとって大変なハンディ

である。

考えさせられる光景

 さすがに月曜日は少なかった。私がイオンの入口に着いたときには、たった一組4人の女子中学生が居た

だけだった。それにしてもこの子達はどうしたのだろう。学校を休んだのだろうか。その後、4人の家族連れ

4人が来た。何もそこまでする必要なないと思われるのだが、その内の一人の中年女性が中学生達に話し

かけるようなふりをして私の前に割り込んできた。話だけかと思っていたらそのまま割り込んで平然とした顔を

していた。彼女の息子だろうか、この子も中学生のようであった。学校はどうなっているのだろう。子が子なら

親も親だと言うべきか。学校を休んで映画を見に来る子供、人の前に割り込んで平然としている母親。世の

中はどうなっているのだろうか。

 大方、一時間半近く待ってドアが開いた。親子連れや中学生達はなだれ込むように中へ入り、チケット売り

場へ駆け込んでいった。他にそんな人は誰もいなかった。私がチケットを買い終わってからほんの少し人の

列が出来た。しかし、その長さは昨日に較べれば比較にならないほど短かった。

シニア料金で入場

 私は今年からシニア料金でチケットを買うことが出来るようになった。受付に車の運転免許証を提示する

だけで良い。うれしいような淋しいような複雑な心境である。しかし、通常であれば1800円が1000円になる

のだから、むしろ映画好きにとっては喜ぶべき事なのだろう。

 この日は一人だけだったので一日中映画を楽しむ事にしていた。そんなわけでチケットは二枚買った。

「ザ・デイ・アフター・ツモロー」と「トロイ」だった。午前中「ザ・デイ・アフター・ツモロー」を見て、午後から「トロイ」

を見ることにしていた。映画の詳細は別のページへ譲るつもりだが、いずれもアメリカ映画らしい金に糸目を

付けぬ大作であった。


大作の紹介

ザ・デイ・アフター・ツモロー

 「ザ・デイ・アフター・ツモロー」は「インディ・ペンデス・デイ」のローランド・エメリッヒ監督がメガホンをとり、

環境問題をテーマにした大作であった。映画は南極の巨大な棚氷が割れて海に流れ出すという迫力ある

シーンから始まった。棚氷の溶けた大量の水は海水濃度を下げてしまうほどのものであった。そのため

常に南極から流れ出していた超温度の深層海流が止まり、これが引き金になって大きな気象変動が発生

し始める。気象変動は加速度的に進行し、北半球のすべての大陸を覆ってしまうほどの大きな台風が出来る。

この渦は上空からの寒気を呼び込み寒冷化が一気に進行する。北半球は猛烈な寒気に襲われ、一瞬に

して人も建物も凍ってしまい氷河期へと一変する。

 環境破壊により世界の気象が激変していく様子を映画化したものであった。本当にこんな事が起きるのか

どうかはなはだ疑問ではあるが、昨今の世界の気象異変を見ていると、あながち空想とばかりは言えない

のではないかと思えてくる。

トロイ

 かつて古代ギリシャの叙事詩に書かれていた「トロイ」の遺跡は、ドイツのシュリーマンが発掘し、伝説が

事実であった事を立証した。その歴史上の出来事を映画化したものであった。

 難攻不落と言われたトロイを攻め落とし、この戦の勝敗を決めたのは大きな木馬だった。城を攻めあぐねた

ギリシャ軍は大きな木馬だけを置いて立ち去った。城の中にいた者は、この中に敵の兵隊が隠れていること

など知らずに木馬を城内に引き入れてしまう。城内が寝静まった頃、木馬の中から敵兵が次々に現れて門を

開けてしまう。そして外で待っていたギリシャ軍が城内に乱入し、一気に攻め落としてしまうと言う話だ。

 事実あった事なのか、のちの人が脚色したものか定かではない。しかし、伝説だと思われていた遺跡が

事実であった事を考え合わせると、まったくの作り話とも思えない。この中に登場してくるのがアキレスという

ギリシャ神話に出てくる伝説的な英雄である。映画ではハリウッドの人気俳優ブラッド・ピットが演じていた。

 ちなみに、英雄アキレスは足に刺さった矢が致命傷となりこの戦で亡くなった。その故事にちなんで足の

かかとの部分にある重要な筋をアキレス腱と言うようになったとか。そんなおまけもついている壮大な叙事詩

を映画化したものである。

                                             2004年8月19日掲載

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