このページは、ある社員の方が最近読んだ探偵小説の中から
これはという物から、こりゃだめだという物まで
ピンからキリまで紹介してくれるそうです。
たまには本でもという方は、ご参考にいかがですか
「恋恋蓮歩の演習」森 博嗣(講談社ノ
ベルズ)
怪盗探偵シリーズの第6弾です
ルパン3世と言うよりも、アルセーヌ ルパンという赴きです
ただこのシリーズ回を重ねるごとに本格としての謎とりも物語り性がつよくでている
ので
本格好きからは、ずぐ謎の方はばれてしまいます。でもそれが面白くないと言うわけ
ではありません
豪華客船の中で、名画の盗難と男の消失事件が起こります。
男が消えた謎より名画をどうやって船から盗みだすかというのがけっこういけてま
す
きみは 読まずに死ねるか
「QEDベイカー街の問題」高田 崇史
(講談社ノベルズ)
漢方薬剤師探偵シリーズの3冊目です
シャーロック ホームズのファンシャーロキアンが次々に惨殺されるお話です
ホームズの本を幾らか読んでるか、宮崎のアニメを観たことあれば十分楽しめま
す
ホームズの隠された謎を解きあかしたとき、連続殺人犯があらわれてきます
ホームズの謎、犯人は誰かと言う謎どちらも意外性があり二つの謎がつながっていく
ところは圧巻です。
知らない人が読んだらホームズというのは昔ほんとにいた実在の人物と錯角するかも
しれません。
きみは 読まずに死ねるか
「猿の惑星」映画版 (角川文庫)
7月28日に映画が公開される「猿の惑星」シナリオの小説化したものと思われます
ほんものの「猿の惑星」の小説とは違うのでお間違えないように。
ここで紹介するのだからどこがミステリーなのかといいますと
宇宙を漂流し不時着した惑星ではなぜ猿が人間を支配してるのか?
ここは地球なのか、又は別の惑星なのか?
といったところの謎が序所に解明されていきます、感のいい人は最初の10分で
おぼろげにその謎のメインテーマに気付くかもしれません。
ただラストは映画とは違う可能性が高いのでぜひ映画も観た方がいいと思います
あの終わり方はティムバートン好みとは思えないからですが。さて
きみは 読まずに死ねるか
「未明の家」篠田 真由美 (講談社文
庫)
建築探偵 桜井京介のデビュー作です。
京介のもとに別荘の鑑定とそこで起きた殺人事件の謎を解く依頼あるのだ。
ミステリーの中の館は昔から連続殺人の舞台として有名だが、この本では館そのもの
の秘密や
それを建てた人物の過去を中心に話しがすすんでいきます。
あっと驚くトリックというわけではありませんが登場人物のキャラはみんな好感は持
てるので
読んでいて飽きることはありません。
本格好きにはちょっと物足りないかもしれません。それは犯人の方があんまり頭よく
ないんで仕方ないかもね。
きみは 読まずに死ねるか
「殺意の集う夜」西澤 保彦(講談社ノ
ベルズ)
嵐の閉ざされた山荘ものです。
偶然嵐の夜土砂崩れで山荘に閉じ込められた8人の男女。そこで偶然起こる連続殺人。
ここまでだとよくある設定ですが、死体が7つ、犯人はひとり。しかし6人しか殺し
てない犯人は
一つの殺人事件の犯人を必死に推理しはじめます。
犯人がわかれば、そいつに全ての罪を着せて正当防衛で犯人を殺したことにできるか
らです。
さて、うまくいくのでしょうか。
一見つながりの無い人たちがどっかで際どく絡んでるし、偶然集まったようだったの
がそうでもなくそれぞれにとっての必然だったりと、
けっこう複雑ですが、最後の落ちがなんだかしっくりこないのは私の読み方が悪いの
か?
きみは 読まずに死ねるか
「幻影城の殺人」篠田 秀幸(ハルキノ
ベルズ)
岡山県笠岡沖に浮かぶ幻影島。そこにあるテーマパーク「ハルキワールド」
ここでミステリー作家たちを集めておこなわれるマーダーゲーム。
しかしゲームのはずが、つぎつぎと起こる連続殺人事件。これを迎え撃つは精神科医
で名探偵 弥生原 公彦。
一つの殺人事件の犯人を必死に推理しはじめます。
横溝、江戸川、高木と過去の名作をなぞりながら、今活躍中の作家が名前をかえて沢
山登場します。
かなりのミステリーマニアでなければ誰がどの作家のキャラかわからないでそしょう
が、そんなことしらなくても
楽しめます。でも角川春樹が出ずっぱりだったり、薬師丸博子がちょい役で顔だした
りちょっと悪のりの感もありますが
わかりやすいトリックはそれはそれでほっとします。でてるる作家の作品を読んでる
とすぐわかるでしょう。
きみは 読まずに死ねるか
「諏訪湖マジック」二階堂 黎人(トク
マノベルズ)
世界最長のミステリー「人狼城の恐怖」の後に書かれた書き下ろしミステリーです。
陸橋から列車目がけて投げ落とされた。身元不明の死体。これを捜査するのは警視庁
の刑事二人。
お話の出だしはなんだか森村 誠一の社会派ミステリーっぽく硬派な印象ですが、場
面かわって登場する探偵は、
旅行代理店に勤める超軟派な人間で急に赤川 次郎の世界に突入します。
しかしトリックを中心とするストーリーは本格をはずしてなくて、今回はアリバイ崩
し物です。
列車物の時刻表のトリックは数あれどこの方法は新しいかもしれません。アリバイと
バラバラ殺人物の複合といったところでしょうか。
手がかりもちゃんと書かれているので、慎重に読めばトリックの雰囲気ぐらいは、途
中で分かるかも知れません。
あとはこの探偵のキャラクターを受け入れるかどうかです。結構別れるところだと思
います。私としては硬派なサブキャラが欲しいところです。
きみは 読まずに死ねるか
「猟死の果て」西澤 保彦(立風書房)
この作品はいつもと文体をかえて刑事が主役のハードボイルドタッチとなっています。
しかし内容は本格ものです。
連続女子高生殺人事件を追う刑事は被害者の間にどんな共通点があるかさぐります。
これが解明されれば、おのずと犯人が浮かび上がってくるのです。
犯人がわかれば、そいつに全ての罪を着せて正当防衛で犯人を殺したことにできるか
らです。ミステリーでいうところのミッシングリング物というわけです。
このメインの事件に頭の切れた若手刑事の暴走がからんできて、最近の動機なき犯罪の
真の動機らしきものがこの小説を通して語られていきます。
最後の以外な真犯人とそれに決着をつけようとする刑事のすがたは、映画のようにきれいにまとまっていました。
きみは 読まずに死ねるか
「黄金色の祈り」西澤 保彦(文藝春秋)
これはミステリーというよりも青春ドラマといった感じの作品です。
ブラスバンド部に入った中学生の主人公「僕」が挫折を繰り返しミステリー作家になるお話です
作者のプロフィールになんだか似ているので自伝的小説かと思ったけど
本の最後にこれはフィクションですとも書いて有りました。
語りも「僕」の一人称で名前もでてきませんが、このことで主観的な自分の評価がいかにまわりの人の
客観的な目との違いによる悲劇を生むかがよく現れていて、たいへんおもしろいです。
ミステリーではないといいましたが、友達の謎の死や楽器の盗難事件など味付けもまた格別です。
きみは 読まずに死ねるか
「ストレート チェイサー」西澤 保彦
(カッパノベルズ)
酔った勢いで三重交換殺人の約束をしてしまった女は、翌日自分が指定した会社の上
司の家で死体が発見されたことを
知らされた。しかしその死体は上司ではなかったのだ。
SF的設定を折り込みながら無理なく本格的密室の謎が提示されています。
主人公は女で名探偵は出てきませんがハードボイルドタッチのストーリーは大変おも
しろいです。
そして探偵役の女の十四歳の娘はなかなかいいキャラクターで好感がもてます。
じつはこの小説、場所はたぶんアメリカ、もちろん登場人物はみんなアメリカ人です。
ハードボイルドといえばアメリカ
知らずに読んだら翻訳物と思うかも知れないぐらいはまっています。
そして最後の一行を読んだ時、あなたはいい映画のラストシーンを観た気分に成るで
しょう。
きみは 読まずに死ねるか
「鳥玄坊先生と根源の謎」明石 散人
(講談社ノベルズ)
この小説、ミステリーではなくいうなれば空想科学歴史小説とでも言うのでしょうか。
日本で最大の謎のお話の日本神話。もしこの話しがすべてほんとのことだったら世界
の歴史はどう解釈が変わるのでしょうか。
これはほんんとうに小説なのか。歴史の学者でさえ現存する事実を空想でつなぎ合わ
せてるのであれば
この話しをすべて否定することはできないはずだ。
ただ日本の神話はものすごく古い、中国4000年やキリスト2000年なんてつい
こないだらしい。
結構メジャーな十三代目の神の、あまてらすおおみかみでも百三十四万二千年前のこ
とで十七代目でやっと神武天皇になるそうです。
でもこんなお話日本だからここまで自由に想像できたわけで宗教に縛られてる国では
こんな小説は出てこないでしょう。
この分野では明石 散人、高橋 克彦と海外を2歩も3歩もリードしていることに誇
りに思ってもいいのでは。
きみは 読まずに死ねるか
「視えずの魚」明石 散人(講談社)
こんどのお話は写楽の謎をメインに推理と哲学を盛り込んだものです。
小説の中に明石 散人という人物がでてきてこの世界のあらゆることについて持論を
展開していきます。
あとはこれを読んだあなたが、彼の考えについていけるかどうかです。
順番としては「鳥玄坊」よりこっちのほうが先に書かれたのか、この中に出てくるひ
とつの考えを発展させたものが、
次ぎの作品へとつながっているようですので、こちらから読んだほうがいいかもしれ
ません。
きみは 読まずに死ねるか
「複製症候群」西澤 保彦(カッパノベ
ルズ)
作者の得意とする、SF的設定のなかでの本格ミステリーです。
さて今回のSF的設定とは、巨大なストローのような物質の中に隔離された高校生達。
そしてこのストローに触ると自分のコピーが生まれるのです。本体が通り抜けても、
そのコピーがストローの中に取り残されます。
この閉鎖された空間の中に本体とコピーが入り乱れ殺人が起こります。殺されたのは
本体かコピーか?
犯人は誰なのか。SFの部分の科学的理屈はいっさい有りませんが、それまどうでもい
いことで、
こういう設定ならではのトリックが、本格なのです。
そういえば、クローン人間の話しといえばこないだシュワルツネッガーの「6 day」
がありましたが、ストーリーの複雑さでは、
こちらの方が遥かに上でしょう。どっか映像化してくれないかな。
きみは 読まずに死ねるか