キネマの僻地

趣味の部屋へ

このページは、社員の方達が観た映画の感想を書いています
あくまで個人的な主観ですので
気になる方はぜひ映画館に足を運んでみてください。


ラストサムライ

トムクルーズの最新作は日本が舞台の時代劇です。
日本の武士道が消えようとする明治初期に、それを理解しようとするアメリカ人はど こまで感じ取っていったのか。
それはこの映画を企画して製作した者の考えや脚本監督した者の武士道に対する考え が画面いっぱいに溢れていて
それは感動的です。日本人ですら漫画かテレビドラマの時代劇でしか観る事のないも のをアメリカ人から見せられて、
日本には武士道という言葉は出てこなくても精神は今だ映画やドラマ、アニメや漫画 の中に残っているのが改めて確認できて
よかったと思います。
ただロケを海外でやったせいか、森の中のシーンでなにやら熱帯雨林のジャングルの 様な木があったりしてムードが半減してしまいます。
出演者のほとんどが日本人なんだから、ロケもオール日本ですればよかったのだけれ ど、スタッフはほとんどあっちの人なので
しかたのないところかもしれません。
アメリカで武士道精神が受けるのであれば、なにも時代劇で武士が出て来なくても、 日本の映画に精神だけは生き残ってることを
アピールしていければいいのですが。


バレット モンク

ジョン ウー監督が久しぶりにチョウ ユンファと組んだアクショ ン映画です。
チベットの坊主(モンク)が先代から魔法の巻き物を受け継ぎ、これを狙うナチの残 党との死闘を描いた映画です。
「フェイスオフ」でピークを迎えそこから横道へ逸れてぱっとしなかったジョンウー が初心に帰るべくリハビリを
兼ねて撮った様な感じがします。カンフーアクションもきれいにまとめ、ワイヤーも さり気なく取り入れこじんまりとした
作品となっております。あとは得意のガンアクションをもっと取り入れて欲しかった と思います。チョウユンファが拳銃を
使うシーンはたった一度だけです。モンクという設定上やたらと銃を打ちまくっては まずいのでしょう。
もうすぐ次回作のSFアクション物が公開されるらしいですが、どこまで自分を見失わ ず得意分野で撮れてるかが心配です。
がんばれ ウー。


ゼブラーマン

哀川 翔100本目の主演作はVシネマでは無く劇場公開のアク ションヒーロー物だったのです。
2010年日本に謎の宇宙人が密かに人間に寄生しはじめた。それに立ち向かうは小 学校の先生。
彼は子供の頃テレビで放送されていた「ゼブラーマン」に憧れ自分で衣装を作って夜 な夜な変身していたのでした。
信じれば夢は必ず叶うという言葉の通り彼は真のゼブラーマンに成れるのでしょうか。 そして宇宙人の侵略から日本を救えるのでしょうか。
ヒーローに成ろうとする男の話という設定は過去にもあったでしょうが、オリジナル の具体的なヒーローを映画の中に登場させといて、それに憧れる
というのは新鮮で面白いです。あとはどんな魅力的な悪を登場させるかが問題だった のですが、今回選ばれたのはCGで描かれた宇宙人でした。
前半はリアルな人間ドラマっぽく、ゼブラーマンに変身してからはヒーローアクショ ン物へと変わっていきます。
人間の悪者を登場させて最後まで人間ドラマとする方法もあったでしょうが、やはり ヒーローらしい活躍を描いてエンターテイメントに徹したことが
よかったと思います。「白黒付けたぜ」の決めゼリフも決まり一級の娯楽作品となっ ています。
悪のある所にゼブラーマンは現れるはず。続編にも期待できるでしょう。


ロード オブ ザリング(王の帰還)

3部作の完結編です。1、2作とも長い映画でしたが3作目はさ らに長く3時間半くらい有ります。
別れてしまった旅の仲間それぞれの冒険と戦いを丁寧に描いているので、しかたの無 い所でしょうか。
この映画はなんといっても大画面のなかで圧倒的な人数の人間が動き、走り、戦って いる様子が物凄い迫力で迫ってくる感動を味わえる
といったところです。スターウォーズでも近いシーンは有りましたか、それ以上でしょ う。
ストーリーを追っかけるのも大切ですが、本に書かれている状景を画面にリアルに再 現されているのを観る楽しさを教えてくれる映画です。
CGと自然の景色の融合も巧みで美しく、CGの動きで欠点だった重量感もだいぶ自然に 近くなっています。特に投石機によって飛んでくる
石がすばらしくリアルで地面にめり込む感じがよく出ています。
それにしてもファンタジーの世界をここまで実写で再現できるのであれば、日本には 映画化してほしい原作は沢山あるのですが、
今の所はアニメで我慢するしかないでしょう。ただアニメだとどうしても格下に見て しまう人達がまだまだ多いのは悲しい事です。


ワンピース(呪われた聖剣)

ワンピースと言えば、少年ジャンプで連載中だし、アニメも放映 中ですが、映画となると
オリジナルのストーリーとなっております。その原作を作者自身で書いていればいい のですが、なかなかそうは行かないみたいです。
本編では各登場人物に重い背景を背負わせて、それを丹念に描いていますが、それが できるのも週間連載で地道に世界を広げていける
利点を最大限に活かしているからです。それが映画となると90分そこそこの間に聖 剣にまつわる歴史やら人間関係を一気に説明しながら
ルフィー達にも均等に活躍の場面を設けつつ、ストーリーを盛り上げなければならな いので大変です。
どうせなら、ガンダム劇場版の様に、原作のエピソードを切り取って編集して公開す るのも面白いと思うのですがどうでしょう。
連載中の原作はどこか子供を突き放した所があって、そこがまた子供には魅力なので しょうが、映画は短時間で解りやすくまとめているので
一部の子供には物足りないと感じるかも知れません。漫画もアニメも子供に媚びない 物の方が名作となって歴史に残るのです。


ペイチェック 消された記憶

先日のバレットモンクにつづくジョンウーの新作というよりフィ リップ.K.ディック原作の最新作と言った方がしっくりきます。
新製品を極秘に開発するのを請け負う仕事をしている男、ただしその情報が漏れない ように仕事の後一切の記憶を消されてしまう。
その見返りとして多額の報酬を得るのだが、ある装置の開発の後、記憶を消され報酬 を受け取りに行くと、なぜか19のガラクタを渡されるのであった。
しかもそれを自分が用意したと思われた。何の為の道具なのか、迫り来る危機から逃 れる為にはどうすれば良いのか。
一つ一つのアイテムには意味があり、またその意味を理解しなくては危機から脱出で きそうにない。男に未来はあるのか。
さすがにSFでは超有名な作家の作品だけはあり、アイデア、伏線の張り方とすばらし い出来です。
ただ私の記憶では「ブレードランナー」「トータルリコール」「マイノリティーリポー ト」とつづく4作目なので、面白さも4番目となるのも
仕方がないところですが、そこはジョンウーのアクションシーンがそれを補ってます。


恋人はスナイパー

2時間ドラマで好評だったシリーズの劇場版です。
原作は西村京太郎です。トラベルミステリーという印象が強いのですが、結構いろん なタイプのミステリーも書いてます。
この映画はサスペンス色が強く、日本国民全部を誘拐したと宣言する犯人グループが 総理大臣に身代金を要求し、それに従わない場合
国民を無差別で狙撃するというものです。犯罪のアイデアとしては、なかなか斬新で 犯人の方に魅力を感じます。
そして国がお金を出しそうに無いと見ると、国民にあるバッチを購入して胸に着けれ ば狙撃しないと発表しバッチの製造会社に大量のお金が
振り込まれ、これをこんどはパソコンを駆使してかすめ取ります。これもあっと驚く 手口で感心します。
女刑事と元中国の狙撃暗殺集団だった男とのドラマに重きをおいてますが、スナイパー という題名からも解るように最後はビルの屋上からの
狙撃合戦となりす。このシーンは手に汗握る緊迫感がほしいところなのですが、演出 が悪いのか音楽がわるいのか今一歩です。
ラストは内村君の趣味なのか、ブルースリーのあの映画のラストを意識したものとなっ てます。でもこれでは続編作れないのでは。


アップル シード

日本の技術の粋を集めた最先端のアニメーション映画です。
何が最先端かというと、テレビゲームでは結構前から導入されていた、人間の動きを 撮影してその上に絵を重ねるモーションキャプチャーという
技術です。アニメのキャラクターが人間の様な動きをする様はすばらしいです。
アメリカが実写の中にCGを組み込んで、なんとか本物に見せようと無理してるのとは 反対にアニメの中にCGを取り込み動きを滑らかにしたり、
背景を立体的に奥行きをもたせるなどの取り組みをしている日本の方が真っ当なCGの 使い方と思います。
公開前からアメリカでの上映が決定するなど宮崎アニメとは扱いがだいぶ違うのは、 宮崎アニメのライバルはディズニーを始めとするアニメ映画ですが、
この映画は「マトリックス」などのハリウッド御得意の実写アクション映画だからで しょう。
それもそのはずで原作 士郎正宗は「功殻機動隊」の作者です。でも実写であろうが アニメであろうがストーリーやテーマがゆるいとしかたありませんが
そこは心配いりません、人類の選択という深く重いお話が理屈が破状せず語られます。 アニメや実写という枠を越えた作品です。


名探偵コナン(銀翼の奇術師)

このシリーズも長いものでもう7作目だそうです。
もともと一つの事件に一つの物語りと1話完結なので、映画用にオリジナルストーリー を作っても違和感無く観る事ができます。
その辺はこないだの「ワンピース」の様に原作のストーリーがしっかり確立している 所にアナザーストーリーを作ってみても浮いてしまうのとは違って、
魅力的な事件と犯人さえ創造できれば、良い映画になるので便利な設定といえるでしょ う。
さてミステリーだからといって、密室に人を集めて推理ショーをやってもヴィジ? ル的には見栄えが悪いと言うのを良く理解している様で、
前半は、怪盗からの予告状から始まり、飛行機の中という密室での殺人事件があり、 それが解決したかと思うとこんどはパイロットに異常が発生して、
パニック映画へと変貌していきます。観ている者を飽きさせず画面に引き付ける演出 はみごとでした。
週間連載やテレビシリーズがややマンネリ化してきて閉息間が漂って来たので、「ル パン三世」のように単発スペシャルシリーズにしてはいかかでしょうか。


キル ビルVol.2

去年の前編につづく後編です。
前編では事件の背景をほとんど説明することなく、結婚式を昔の仲間に襲撃された復 讐の為、一人づつ殺していくバイオレンス映画でしたが
この後編では、回想シーンを挿みながら謎として残っていた部分を埋めていく淡々し たストーリー展開ですが、随所にアクションシーンを絡めて
単調にならない様にしているところは、さすがに上手いです。
それにしても、もともと1つの映画なのに後半だけでも2時間半くらいあるのは長過 ぎです、しかも2つに分けてしまったので、せっかくのどんでん返しも
公開前に情報が多少もれて聞こえてくるので、驚きも半減してしまうところが残念で す。
せっかく複雑なストーリーをテンポよく表現するのが上手い監督なのに前後に分けて しまっては旨味が薄れます。
この映画はDVDで一気に観賞することを薦めます。


スパイダーマン 2

アメコミの実写版スパイダーマンの続編です。
完全につづきの話しなので、人間関係などの説明が最小限となっているので、順番に 観ることをお勧めします。
ヒッチコックファンの監督、サム ライミらしく主人公の周りにいる人物のちょっと した仕種や表情をカメラが見のがさず
捕らえていきます。その積み重ねでスパイダーマンに対する思いを描き、それぞれの 立場を表現しているところは大変上手い演出です。
この手法によって、日本のアニメで目が肥えている人達にも、低レベルなヒーローに も血や肉を与えられ、満足できるすばらしい作品となっています。
ただ、スパイダーマンの姿はCGし安すそうなのに、なぜだかツルンとした顔ですぐCG と解ってしまうのはかっこわるいし、ヒロインも
なんとなく日本人好みとは言えない感じで、盛り上がりがあと一歩というところです か。
たぶん次の第3作で完結するはずです。いや綺麗に完結してほしいと思います。ジリ 貧のスーパーマンみたいに成らない事を祈ります。


アイ ロボット

近未来、ロボットは完全に人間社会に溶け込み生活をしている。
人はロボットが完璧に人間に危害を加えないと信じ、これまで1度も事件は起きてい なかった。
ただ一人、ウィルスミス演じる刑事だけロボットに対して一抹の不安を抱えていた。
この世界観は手塚治虫の「メトロポリス」や「鉄腕アトム」に通じるところがあるの ですが、一つ大きく違うのが、
ロボットが一体づつ感情が有るように見えて、一つの共通のソフトウェアーに基づく 行動をと?いる所で、これは今風の考え方なのでしょうか。
ソフトにバグがあるというのでは無く、プログラムとしての原則が人工知能の解釈に よってねじれて行く所は現実的であり得る話です。
ただ今のパソコンのOSを考えると、絶対に暴走しないロボットが生活の中に入ってく る未来なんて永遠にやって来ない気がします。
それを考えると、映画の中のロボットに非常停止用スイッチが無いのはおかしいです。


ヴァン ヘルシング

「吸血鬼ドラキュラ」の小説でドラキュラを退治したヴァン ヘ ルシングを主人公に、狼男、フランケンシュタイン、ハイド氏など
古典モンスターが総出演です。これだけそれぞれ名の知れた怪物を全部使ってどうやっ てストーリーを作るのか不安でしたが、心配はいりませんでした。
ドラキュラをボスにその手下となってしまった狼男、体内のエネルギーを狙われるフ ランケン、オープニングに挨拶がわりにヴァン ヘルシングにやられるハイド氏 と
それぞれ見せ場を用意されていて、怒濤の格闘シーンがつづきます。
人からモンスターに変身するといつも見慣れたCGが出て来て、画面の中を飛び回りま す。あまりの動きの速さになんだかアニメの様です。
ここはもっと特殊メイクを使った人対人のアクションを取り入れてリアルな動きを出 して欲しかったです。CGのシーンが多すぎると、最初からアニメでも
良かったんじゃないかと言う事になってしまいそうです。
それでも全体的には、個性的な各キャラを上手く使って綺麗にまとめたストーリーは すばらしく出来がいいです。


コラテラル

トムクルーズが殺し屋の役、いわゆる汚れ役に挑戦した作品です。
コラテラルとは巻き添えと言う意味があるので、主役は殺し屋を乗せてしまったタク シーの運転手ということになるのでしょう。
一晩で5人の殺しを請け負った殺し屋の、第一殺人の現場を目撃してしまって、連れ 回される羽目になる運転手が
5番目のターゲットが知り合いの女と知ると、勇気を振り絞って殺し屋に立ち向かう というお話です。
なんとなく「レオン」を意識してるのか、トムクルズの殺し屋はなんだか意味あり げな雰囲気を出そうとしています、でも
殺し屋になった経緯などをタクシーの中でしゃべったくらいでは深みや哀愁は出て来 ません。
もっとその辺の事情を前面に出して、殺しのシーンなんて少しでよかった気がします。 2時間の映画で5人も狙うから
そっちのお話が長くなって、人物がうすっぺらになったのでしょう。映画なのだから 台詞で説明だけというのはまずいです。


ゴジラ ファイナルウォーズ

これで最後と言われてます。ここ何作かは観客動員数がジリ貧だっ たらしいとの事。
そこでゴジラのイメージを変える為か監督に「あずみ」や「スカイハイ」の北村龍平 を持って来ました。
そして歴代のゴジラと戦った怪獣達がつぎつぎと現れてゴジラと戦います。
ただゴジラを前面に出し過ぎたのがまずかったと反省したのか、今回は地球の征服を 狙う宇宙人を出して来て、
それを生身の地球人と戦わすというのに半分の時間を割いてます。
このへんが監督得意のアクションシーン満載で、一瞬何の映画か忘れてしまいそうで す。
ただその生身のアクションシーンが「あずみ」でチャンバラに目覚めたたのか意味な く日本刀を振り回すという
マンネリに陥ってるのが気になります。さてゴジラはいつ復活するのでしょう、次に 現われる時はCGなのでしょうか。