発想の転換で革命を

ポーラスコンクリート

先日、新聞を何気なく読んでいましたら面白い記事が出ていたので紹介します。従来は防災に

ばかりに重きを置き、コンクリートで固める一方だった川の堤防を、草の生えるような環境にして

いこうというものでした。

 川は言うまでもなく非常に重要な働きをしています。川は上流から流れ下る過程の中で、汚れた

水の浄化をしています。これには川岸に生えている葦等の雑草や水の中に生える藻等が重要な

働きをしています。

 ドイツでは固める一方であったコンクリートの堤防を取り除き、わざわざ蛇行させてまで川本来の

働きを取り戻そうと努力しています。あの合理主義一辺倒だったアメリカにおいてさえ、不必要な

ダムを取り壊し、昔の川に戻そうとしています。

 このように先進国の中では、次々に自然回帰への動きがあるというのに、未だに防災一辺倒

なのは我が国だけではないでしょうか。確かに、コンクリートで固めてしまえば防災と言う観点

からは安心でしょうが、その代わり川らしい姿は失われ、川本来の機能もなくなってしまいます。

 何とか両方の要望を満たすようなものはないかという観点から、考え出されたのがポーラス

コンクリートというものでした。このコンクリートは砂を使用せず、コンクリートと砂利だけで出来た

ものだそうです。従って、固まりとはいえ穴だらけで、隙間には土が入り込み草が根を下ろすと

いうわけです。これで作った堤防には草が生い茂り、遠目にはコンクリートで固めたものには

見えないそうです。これですと石垣にするほどの費用もかからないし、さほどの財政負担には

ならないのではないでしょうか。まさに一石三鳥といったところです。

洗剤のいらない洗濯機

 洗濯機に洗剤がいらないとしたら革命的な事です。長く、洗濯には洗剤というイメージがあり

ました。誰の発想かは知りませんが、洗剤公害の叫ばれている今日、これが有効だとなれば

川の汚染は随分少なくなるのではないでしょうか。

 私達が子供の頃、どんな小さなどぶ川でも表面の水は澄んでおり、おたまじゃくしがたくさん

いました。今、こんな川でおたまじゃくしを見かけることがあるでしょうか。水自体が薄汚れ濁って

います。とても魚やおたまじゃくしの住めるような環境ではありません。全てが洗剤によるもの

だとは言わないまでも、多くは洗剤によるものであることは間違いありません。

 洗剤の需要は電気洗濯機が普及し始めて急速に伸びました。日に日に流される洗剤の量は

莫大なものです。自然に優しい洗剤だといったところで、使用量が減っていないのですから、

その影響は少なくないはずです。おかげで川は浄化機能の限界を越え、薄汚れ淀んだ流れに

なってしまいました。コンクリートの壁で仕切られ、毎日毎日、限界を超える量の洗剤を流された

のでは川が死んでしまうのは無理もない話です。

 この洗濯機は発売されて以来、急速に売り上げが伸びているそうです。川の汚れについては、

みんなも気にしていた事なのです。洗剤の費用もかからない、その上、環境保護にもなるとすれば、

こんなに素晴らしいことはないではありませんか。

 洗剤メーカーは一斉に反旗をひるがえしたそうです。この洗濯機の不備な点ばかりを取り上げて

攻撃をしていると言います。しかし、良いものは良い。いずれ評価の決まる日は近いと思います。

他の電機メーカーも方式の異なる洗剤のいらない洗濯機を売り出そうとしているそうですから、

今後、この動きは更に加速するものと思われます。

 考えて見ますと私達子供の頃には、たらいと洗濯板、そして石鹸が主役でした。その際、使う

石鹸の量はまことに微々たるものでした。必要以上に洗剤を使うこともなく、汗したもの程度の

下着はただの水洗いで済ませていました。これで十分なのです。必要であろうがなかろうが

決められた量の洗剤を必ず入れて洗濯する必要はないのです。

 滑稽だと思うのですが、二人三脚のようにしてきた洗濯機メーカーと洗剤メーカーが敵対する関係

になっているのです。私は発想の転換を行った洗濯機メーカーに軍配を上げたいと思っています。

 洗剤を使わない洗濯機、今の時代だからこそ出てきた発想かも知れません。この種の発想が

どんどん出てきても良い時代なのではないでしょうか。

いわゆる発想の転換

私事で恐縮ですが、私の勤務している工場ではTPMという会社の効率化を目指した運動に

取り組んでいます。設備の故障を少なくすることから始まって、今では企業の生き残りをかけ、

製品のコストダウンをするには如何にすべきか、というようなところにまで踏み込んだ取り組み

をしています。この運動を行うようになって以来、みんなの考え方が随分変化してきました。

 この世の中で、この方法しかないというようなものは何一つありません。見方、考え方を変える

だけで、こんな事も出来るのか、あんな事も可能なのかと、実践してみて驚くような事ばかりです。

いわゆる発想の転換なのです。道は決して1つではありません。

 しかし、理屈では分かっていても、いざ事に当たってみると壁にぶつかり、投げ出してしまいそうに

なってしまいます。壁にぶつかったら一度振り返ってみて、他に方法はないのかと考えてみること

から再出発します。一方の側から見ていたものを反対の方からも眺めてみると、今まで気が付か

なかったようなヒントが、思わぬところで見つかったりするものなのです。

 お金をかけなくても発想の転換だけで出来た改善がたくさんあります。それが実現できたおかげ

で随分、楽になったというような事も少なくありません。要は発想の転換なのです。これだけ長く

不況が続くと、従来型のやり方では通用しなくなってしまいます。企業はつぶれ有能な人材も生か

されることなく、企業から放り出されるような事になってしまいます。そんな事にならないようにしたい

ものです。そんな懸念をよそに、新しい動きが国内のあちらこちらから出始めているような気が

します。それが出来た人や企業は、こんな不況にも関わらず大儲けをしています。

 人間の発想一つで、どうにかなると言うのであれば、こんなに手軽で素晴らしい事はないのでは

ないでしょうか。こんな時だからこそ、みんなで智慧を出し合って、新しい時代を切り開いていきたい

ものです。発想の転換で21世紀の革命をもたらしたいものだと思っています。

                                           2001年10月23日掲載

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